COPDの新たな診断スキーマが有用/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/05/29

 

 呼吸器症状、呼吸器QOL、スパイロメトリーおよびCT画像所見を統合した新たなCOPD診断スキーマによりCOPDと診断された患者は、COPDでないと診断された患者と比較して全死因死亡および呼吸器関連死亡、増悪、急速な肺機能低下のリスクが高いことが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のSurya P. Bhatt氏らCOPDGene 2025 Diagnosis Working Group and CanCOLD Investigatorsの研究で明らかとなった。著者は、「この新たなCOPD診断スキーマは、多次元的な評価を統合することで、これまで見逃されてきた呼吸器疾患患者を特定し、呼吸器症状や構造的肺疾患所見のない気流閉塞のみを有する患者を除外できる」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年5月18日号掲載の報告。

主要基準として気流閉塞、副基準に症状および画像所見5項目を設定

 研究グループは、COPDの新たな多次元的診断スキーマを開発し、2つの大規模な前向きコホート、Genetic Epidemiology of COPD(COPDGene)およびCanadian Cohort Obstructive Lung Disease(CanCOLD)を用いてその有用性を検証した。

 COPDGeneコホートは、2007年11月9日~2011年4月15日に米国の21施設において、現在または過去に喫煙歴のある45~80歳の1万305例を登録したもので、2022年8月31日まで追跡が行われた。

 CanCOLDコホートは、2009年11月26日~2015年7月15日にカナダの9施設において、40歳以上(喫煙歴は問わない)の1,561例を登録したもので、2023年12月31日まで追跡が行われた。

 新しいスキーマでは、気流閉塞(FEV1/FVCが<0.70または<正常下限値)を「主要基準」、CT画像での軽度以上の肺気腫、気道壁肥厚の2つを「副基準:CT画像所見」、呼吸困難(mMRCスコア≧2)、呼吸器QOL低下(SGRQ≧25またはCAT≧10)、慢性気管支炎の3つを「副基準:呼吸器症状」として、(1)主要基準を満たし、5つの副基準のうち1つ以上を認める、または(2)副基準のうち3つ以上を認める(他の疾患が呼吸器症状の原因と考えられる場合はCT画像所見2つが必要)場合にCOPDと診断した。

 主要アウトカムは、新スキーマを用いて診断した場合の全死因死亡、呼吸器疾患特異的死亡、COPD増悪、FEV1の年間変化であった。

気流閉塞を認めないCOPDで予後不良

 COPDGeneコホート(解析対象9,416例、登録時平均[±SD]年齢59.6±9.0歳、男性53.5%、黒人32.6%、白人67.4%、現喫煙者52.5%)では、気流閉塞を認めない5,250例中811例(15.4%)が副基準により新たにCOPDと診断され、気流閉塞を認めた4,166例中282例(6.8%)は非COPDとされた。新たにCOPDと診断された群は、非COPD群と比較して、全死因死亡(補正後ハザード比[HR]:1.98、95%信頼区間[CI]:1.67~2.35、p<0.001)、呼吸器特異的死亡(補正後HR:3.58、95%CI:1.56~8.20、p=0.003)、増悪(補正後発生率比:2.09、95%CI:1.79~2.44、p<0.001)がいずれも有意に多く、FEV1の低下(-7.7mL/年、95%CI:-13.2~-2.3、p=0.006)が有意に大きかった。

 スパイロメトリーで気流閉塞が認められたが新スキーマで非COPDとされた群は、気流閉塞がない集団と同様のアウトカムであった。

 CanCOLDコホート(解析対象1,341例)においても同様に、新たにCOPDと診断された群は増悪頻度が高かった(補正後発生率比:2.09、95%CI:1.25~3.51、p<0.001)。

(ケアネット)

OSZAR »