乳がんの家族歴のある女性を対象とした大規模コホート研究において、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)を用いた乳がん検診が、従来のデジタルマンモグラフィ(DM)と比べ再検査率が大幅に低下し、特異度が向上したことをオーストラリア・シドニー大学のTong Li氏らが報告した。とくに、第1度近親者に乳がん患者がいる女性や乳腺散在乳房の女性でその効果が顕著で、きわめて高濃度乳房の女性では進行がん率を低下させることが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2025年5月22日号に掲載。
本研究では、2011~18年に米国・Breast Cancer Surveillance Consortiumの加盟施設でDBTまたはDMによる検診を受けた、18歳以上の乳がん家族歴のある女性20万8,945人、延べ50万2,357件の検診データを解析した。主要評価項目は、治療の逆確率重み付けを行った再検査率、がん発見率、中間期がん(検診と次回の検診の間に発見されるがん)率、進行がん率、生検率、陽性反応的中度、感度、特異度におけるDBTとDMの絶対リスク差(ARD)であった。
主な結果は以下のとおり。
・全体として、DBTはDMより再検査率が有意に低く(調整後ARD:-1.51%)、特異度が有意に高かった(同:1.56%)。とくに第1度近親者に1人の乳がん患者がいる女性では、DBTはDMより再検査率が有意に低く(同:-1.72%)、特異度が有意に高かった(同:1.75%)。
・乳腺密度別にみると、脂肪性乳房の女性ではDBTの非浸潤性乳管がん(DCIS)発見率はDMより有意に低かった(-0.71/1,000検査)。乳腺散在乳房の女性では、DBTの再検査率はDMより有意に低く(ARD:-1.90%)、特異度が有意に高かった(同:1.93%)。不均一高濃度乳房の女性では、DBTの再検査率はDMより有意に高かった(同:1.75%)。きわめて高濃度乳房の女性は、DBTの生検率はDMより有意に高く(同:0.48%)、進行がん率が有意に低かった(-0.61/1,000検査)。
・DBTによる検診ではDMよりも早期の浸潤がんで発見される割合が高かった。
(ケアネット 金沢 浩子)